第34章 戦雲立ち 戦火拡大
城内をバタバタと騒々しく走る足音が、広間に近づいてくる。
秀吉が見たら大目玉を食らう。
すぱぁぁぁん! と襖が開け放たれる。
「「‼︎‼︎」」
驚いた顔で三成と瑠璃が、襖を手荒に開け放った犯人を見る。
「信長様達が帰って来るって!」
高見櫓(たかみやぐら)の見張り兵に聞いで、
急いで伝えに来たらしい。
「そうですか」
「良かったですね、美弥さん」
嬉しくて飛び上がらんばかりに息急き切って来たのに、三成と瑠璃はそれ程、喜んでいないようだった。
「えーっ、二人共、それだけ?
瑠璃さん!政宗も帰って来るんだよ⁉︎」
それを聞いて瑠璃は乾笑※(かんしょう)する。
(申し訳ありません、一時帰還です…)
(残念ながら、また……)
再び、進軍する為に戻った事を、三成は元より瑠璃も解っていた。
※乾笑…作り笑い。