第34章 戦雲立ち 戦火拡大
「二人共、なんでそんな顔してるの?」
不思議そうに首を傾けながらも、
嬉しくて堪らない様子の美弥を、三成と瑠璃は、
複雑に見ては、お互いに顔を見合わせた。
程なくして、城の外が騒がしくなった。
ドタドタと、早くも重い足音が天主広間へ近づいて来て、今日2度目、襖が荒々しく開かれる。
否や
「三成!状況を報告しろ」
広げられた地図の前に居る三成に、
厳しい眼を流して、信長が猛々しく上座に着く。
「御無事の御帰還、なによりでございます」
恭(うやうや)しく頭を下げる。
「まだ片が付いたわけではない故、そのような礼句は必要ない」
まだまだ戦闘態勢なのだ。
ピリピリと触れれば切れそうでありながら、
気怠い殺気を信長は放つ。
「失礼致しました。早速ですが現在の状況と対応はーー……」