第34章 戦雲立ち 戦火拡大
「美弥様」
代わって口を開いたのは三成。
「美弥様の時代で、寺社寺院、僧侶達が
どうだったかは存じませんが、今、この世では、
大名よりも力を持ち、政治に口出しし、武装し、
戦を仕掛けて来るのは、寺社なのです」
顔が曇る。
「僧侶は堕落し、肉を喰い、童女色を漁り、
遊興費に困って、布施などをくすね、
脅しや高利貸、何でも行っています。
今現在、仏教は腐敗し、山賊盗賊よりもタチが悪いのです」
説明する三成の声は重い。
「今のままでは、民が安心して平和に暮らせる世は来ません。
ですから、信長様は、寺社攻撃の手を緩めないのです」
美弥の瞳が揺れながら、三成を見る。
「…皆が平和に暮らせる世の中の為…」
「はい、そうです」
ニッコリと慈悲に微笑む。
「…でも……」
複雑そうな美弥。