第34章 戦雲立ち 戦火拡大
「ふわぁぁぁ〜〜っ」
政宗が両腕を上げ、大きく伸びをする。
「生き返るー。ありがとな、瑠璃」
少年みたいでいて、優し気な笑顔を向けられ、少し照れる。
「私は何も。光秀様の文を届けただけですから」
清爽と微笑しながら、気分良さそうな政宗を見れば、さっきまで広間で、病人みたいな顔をしていたのが、全く嘘のようだ。
「で、何で、お前が届けに来たんだ?」
鋭い目が向けられる。
「門を出た所で出会ったので、忙しい光秀様と代わって差し上げたんですよ」
清廉としている普段の瑠璃にはないほど、
柔らかで明朗に答える。
それが、答えだと、政宗には察しがついた。
以前の政宗なら分からなかっただろう、
瑠璃の感情の隠し方。
抑揚のすくない静かな声で話す時か、
普段より明るく話す時は、何かを隠していると、
今では読めるようになっていた。