第34章 戦雲立ち 戦火拡大
「信長様」
「ん?瑠璃の声だな」
軍議中の広間に花のような瑠璃が入ってくる。
張り詰めた空気がほんの少し緩んだ気がする。
実際、緩んだりはしていないのに、
そんな気になるだけだ。
「……何しに来たの…」
(こんなピリピリした所、見せたくないのに…)
家康はうざったそうな口調で、瑠璃を早く此処から追い出そうとする。
けれど、瑠璃は家康とは反対に、
努めて柔和で穏やかな声で、笑顔を振りまく。
「皆様、軍議 お疲れ様です。
琴でも弾きましょうか?」
もちろん、そんな物は不必要だと解っている。