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《イケメン戦国》未来から来たお姫様

第6章 帰城後から帰城に



「独りで森へ入らせた俺も悪かった。
こんな事もあるかもしれないのに」
と瑠璃の手首を取ると、ビクッと手が揺れる。
「当分痛むだろうな」
政宗は縛られた跡をそっと指で撫でる。
「痛みます。
でも、いつか治ります。
命があれば。」
瑠璃の言葉から戦の事を思い出していると、
慮(おもんばか)った政宗。

瑠璃は自分が殺した戦場でのことだけ
を言っているのではなくてーー。

手首を撫でていた政宗の手に瑠璃はそっと、
掌を重ねると顔を伏せる。

「私は生きててよかった……でも、
あの人達、政宗が殺したんですね」
生きてることへの安堵や死者への哀悼、
そんな声色でもなく、政宗を責めるような言い方でもない。
ただ、状況を言っただけのような瑠璃の物言い。

それは、沢山の思いがありすぎて、
整理がつかなくて感情の籠っていない、
そんな声色になって口から出たようだった。


政宗は肯定も否定も言葉にしない。
瑠璃の肩が震えている。
掌に額をつけて。

「ごめんなさい。
助けてもらったのに……
生かしてもらったのに。
殺させてしまった…
でも、殺して欲しくは無かった」
涙声が静かに訴える。
(察したか……俺もまだまだだな)

(それに、アイツもそう言って食ってかかってたよな。理解出来ないって、泣いてた。)

もう一人の平和な女が安土城でそう抗議していたのを思い出す。
その時、理解出来ないと抗議するのを聞いて、苛立ちを覚えた。


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