第34章 戦雲立ち 戦火拡大
「……何の……」
動揺と言うより、本当に訳が解らなくて言葉が出てこない瑠璃。
「触れては離れ、滑っては止まり…そうやって、
政宗を翻弄するのだな」
ククククッ と人の悪い、妖しい笑みに、
探るように金色の瞳を光らせる。
そんな光秀に、瑠璃は、驚いたまま、
なんとか声を出す。
「……光秀、様………驚いて、声を失いましたよ」
「フッ、ハハハハ、それはそれは、大成功だったな」
上機嫌の光秀が瑠璃の瞳を覗き込む。
「人が、真剣に考えている処に、
どうしたらそんな、くだらない事、考えられるんですか」
「くだらないとは心外だな。
男はいつもそんな事ばかり考えている生き物だ」
「くだらない、じゃないなら、しょうもない生き物ですよ」
呆れ気味に言っても、どこか、気を許した笑顔だった。