第34章 戦雲立ち 戦火拡大
城で策を練らず、勝手に伊達御殿に来て、
瑠璃を相手に策を考えているとは、誰も思わない。
もし、敵が探っていたら、
戦前に女の元で遊ぶ 愚将 だろう。
「武田も動くなら、皆が単独進行している間に、
京側をなんとかしておきたいですね。光秀様」
瑠璃が光秀の盃を満たしながら話す。
「個別攻撃か…それは、時間との闘いだな」
2人、地図とにらめっこ だ。
(まず京都、安土城…右側に武田…
左から挟めば…陸路…最短距離…直線…)
瑠璃の白く細い指先が、地図上を滑るように行き来する。
「…お前の指は政宗の上をそんな風に往来するのだな」
「……へ……」
突然、トンチンカンな事を言われた瑠璃は、
初めてという程、声にもならない、
漫画みたいな、間抜けな声を出して、
目を瞬きながら光秀を見上げた。
真剣に考えて施策を巡らせていた瑠璃は、
完全に意表を突かれた。