第33章 春花酒宴
御殿に着き、瑠璃の部屋に閨を用意させると、
褥に横たえる。
着物を飾っている帯を解き、楽にしてやると
一旦、部屋を出た政宗は、水を持って戻って来て、また瑠璃の側に腰を下ろす。
いつもに増して、あどけなく、幼く見える寝顔。
宴の席では、終始楽しげにしていた。
けれど、本当の笑顔ではなかったと思う。
酒に呑まれ、人生の愚痴でも出て来るかと
思っていたが、それは、一つも出てこなかった。
家の事で出たのは、光秀を上の兄と混同して、
「にぃ様」と言っては、懐かしい話をした事だけだった。