第33章 春花酒宴
「それとも…今、此処で、斬り刻んで欲しいのか?」
ジロッと蒼い片目を鋭く光らせ、唇の端を上げると、
獲物を狙う猛獣の如く、男達を舐めるように見る。
誰も何も発さない。
身じろぎも出来ない。
金縛りにあったみたいに、嫌な汗をかいて、
ただただ、そこで、その猛獣が過ぎ行くのを
待ってるようだった。
「両手が塞がってる今でも、切りかかって来れないなら、俺を殺す事は出来ないぜ」
政宗の気迫に一歩も動けないでいる男達を、
失笑してみせる。
気迫だけで、この体たらく。
男達は政宗に勝てる訳がない。
もし、切りかかっても、瑠璃を片手で支えて、
自分達が切り刻まれるだろう事は、容易に想像できて、男達は黙って項垂れるしかなかった。
政宗はまた、悠々と歩き出した。