第33章 春花酒宴
俺ひとり にさえ、心を開くのに苦労したんだ、
いくら酒に呑まれていても、宴の席で瑠璃が心を
曝け出せる訳がないのかもしれない。
(二人きりで飲んで酔えば、どうなんだろうな)
フッと表情を緩めて考える。
(俺には何を聞いて、何を言うんだろうな)
興味が湧く。
「……ん……さ……ね…」
「起きたか?」
「……すき……スゥーー」
寝言だったようだ。
「今度は、二人っきりで飲もうな」
酔って泣いても笑っても、自分に甘えて、
いつでもキラキラと眩しい笑顔を見せて欲しいと思った。
サラリ と髪を撫で、愛しげに目を細めると、
そっと、頬に口付けた。