第33章 春花酒宴
そんな家康に、瑠璃はスルッと寄ると、
トロンっとした目で下から見上げると、
着物の肘の辺りを、ツンツンと引っ張る。
(こ、今度は、何なの…)
家康は顔を引き攣らせながら、瑠璃を見る。
「ねぇ…嫌いなの?…嫌ぃー?」
いつも清涼としてきっちりとしている瑠璃。
今、それは姿を消して、話し方は ゆるり とし、
甘える様な口調と、ちょっと眠そうな表情は
まるで、誘われているようだ。
(……///)
瑠璃がグッっと顔を近づけて来るので、
家康は、仰け反りながら顔を背ける。
「ねぇ、いえやしゅ様はぁ、ワタシの事もキライ?」
「は?え?アンタの事なんて……」
「ん?ん〜〜?」
顔を背ける家康の視界に入ろうと、追って回り込む瑠璃。
「本当に雌猫だな」
光秀が可笑しそうに笑いながら傍観する。