第33章 春花酒宴
家康の前にあった盃を取り、喉を潤す為に、
チョット飲んでから、また家康を窺うように、
見上げると
「ワタシはぁー…スキですけど、ね〜」
恥ずかしそうに言ったのか、言ってないのかは判らないが、そう言って、酒で桃色になった顔に、眦を下げた甘い笑顔を家康に向けた。
「⁉︎」
家康が天を仰ぐ。
そして下を向く。
「……///……」
普通の男なら完全にノックアウト、
KO負けだ。
(勘弁して……)
信長と光秀が人の悪い笑を浮かべて、
成り行きを見守っている。
いや、楽しんでいる。
(家康と俺の忍耐力を試してんのか?)
勘弁してくれ…… と思ったのは家康だけではなかった。