第33章 春花酒宴
「美弥さん、テンションは通じませんよ」
「あ、さっき、瑠璃さんに使ってたから、
つい出ちゃった」
エヘッっと肩を竦める美弥。
美弥はすっかり瑠璃と2人仲良しのつもり。
「アンタ達…お似合いだね……」
呆れ気味に言って、逃げるように家康が目を逸らした。
「そうでしょ〜」
「えっ?」
嬉しそうな美弥と困惑の瑠璃。
(お似合いだよ。その着物も化粧も…)
化粧をすれば女はより一層、女らしく見える。
(誰の為でもないなら…しないでよ…)
惑わされそうになる。
自分の為だと勘違いしそうになる。
突然、何かに気付いたみたいに、
心が騒いで落ち着かなくなる。
(でも…綺麗だよ…)