第32章 女神敬仰
「秀吉、美弥が言っていた事は、あながち 間違いではない」
弱り顏をしていると信長にそう言われた。
「私、何か言いました?」
キョトンとする美弥。
「貴様はもう忘れたのか。
瑠璃の事を、ちっちゃい政宗と光秀だ と
そう言っておったではないか」
「それは、確かに、言いましたけど…」
何が言いたいのか解らない美弥。
信長は意地悪な顏で瑠璃を見る。
「ただの悪戯好きの童と、人を欺いて楽しむ童みたいなもんだ」
悪戯と楽しい事好きの政宗と、人が困っているのを楽しむ光秀の事とを、 瑠璃に比喩しているのだ。
童とは、たいしたことない と言いたいのだろう。
(ただの子供か…)
そう思って瑠璃は、嬉しそうに笑った。
「ちょっと驚かすのが好きなだけですよ。
言葉に語弊と悪意がありますね、信長様」
「認めるか」
「否定は致しません」
楽歌のように答えながら愛笑しつつ、
挑む眼差しで信長を見た瑠璃だった。