第32章 女神敬仰

ー姫の告白ー


「驚くと言えば、美弥さんのことなのですが…」
「え！また私？」
今度は瑠璃に話を振られて、美弥が驚きの声を上げる。
そんな、美弥を余所に、瑠璃は続ける。
「美弥さんは、この時代の方ではありませんね？」
信長に真っ直ぐ問い、オロオロしている美弥に目を向ける。
そこに居る一同、目を剥いてている。

「…そうだ…と、言ったら？」
手の内を探りあうように、信長も言葉を選ぶ。

「別にどうもいたしませんよ」
いつものように快冷な瑠璃

「ほぉ、では、戯言に問うてみただけか？」
信長はそんな事には驚きはしない 、と言うのか。
眉を顰めてから、目を細め瑠璃を睨む。

皆が固唾を飲んで次の言葉を待っていると、瑠璃が、
うふふふふ…と堪え切れない幼子のように、
下を向いて笑い出した。