第32章 女神敬仰
曲弁巧みで、何処か捻くれ、疑われ易く見せていながら、純粋で素直に賢く、正言正眼。
(残暴惨烈としたのは相手が正しくない時だった…)
刀の様だ と評された信長様は、初日から瑠璃の本性を、深い所まで見抜いていらっしゃったのだ。
(俺はそれを全く見抜く事が出来ないで、疑ってばかりいた…)
冷々(ひえびえ)として見えながら、情味があった。
表面を疑ってばかりで内まで見ようとしていなかった。
「…瑠璃…悪かった。許してくれ」
佇まいを正して、心から頭を下げれば、
「私が上手に隠していただけですよ。
謝らず、褒めて頂きましょうか。秀吉様。
私の勝ち、 ですね」
明媚とし、優しく笑われた。
(上手いな、俺の非を匿言してくれたのか…)