第32章 女神敬仰
「美弥さん、ずっと黙っていてごめんなさい。
この期間に起こった事は、瑠璃に対してではなく、玉瑛としての私に起きたことなので、お気になさらないで下さい」
前髪を下ろした、女性らしい小姓姿の瑠璃が、
やんわりと美弥を宥める。
「どんな事があったとしても、結果的に私の勝ちですからね」
それはそれは、爽やかに笑う瑠璃。
「…瑠璃さん…」
「それに、なーんにも気付かない美弥さんの事を見るのは楽しかったですしね」
美弥にウィンクして見せる。
「あ"ーっ、ほらっ、光秀さんみたいでしょ⁉︎ねぇ、ねぇ」
既に、美弥の中では瑠璃と玉瑛とが
混乱して一体になっている。
瑠璃に揶揄いに引っかかり、曇っていた美弥の表情が晴れてゆく。
「曇った顔は似合いませんよ。美弥さんは笑っていないと」
「あっ、ほらっ、今度は政宗みたいでしょ〜〜」
美弥が同意を求める。