第30章 花顔涙咲
天主では信長と政宗。
「あの刀、少しは使いこなせるようになったようだな」
少しつまらなそうにしながらも、愉快そうだ。
しかし、政宗はそれには直接答えず、
厳しい口調で口を開いた。
「信長様は何でもお見通しと存じます。が…
競技会の日の事も何か知っておられましたか?」
「あの日、何かあったか」
政宗の言葉をに眉を顰める信長。
そんな信長に、今朝初めて聞き知った、
競技会の帰りの話をする。
「アイツめ、なぜ申さなんだ。
それを知っていれば狩りの日、もっと警戒していたものを…。
軽視し過ぎたか、馬鹿だな、瑠璃よ」
ここに居ない瑠璃に向け言う。