第30章 花顔涙咲
「本当は、弱い泣き虫な女なのにな」
揶揄う様に笑って言っても、政宗の優しい瞳が済まなそうに、自分を見ていることに、瑠璃は気付いていた。
瑠璃が政宗を見て困ったように微笑していると、チュッと再度口付けられた。
「瑠璃、もう、その顔、仕舞ってくれ。
…行くぞ」
頭にポンっと手を置かれた。
「?」
政宗の言葉に違和感を覚えながら、
前を向き直して見れば、腕組みをして睨みを
利かせて、秀吉が立っていた。
「政宗、そういう事、公の場でするな。風紀が乱れる」
「女が泣いてたら慰めるに決まってるだろ。
場所は、関係ない」
清々しいほどにキッパリと。
「あ、政宗、コラっ」
通り過ぎようとした政宗を引き止める秀吉。
「なんだよ〜。行っていいんだろ」
「政宗っ!」
秀吉は説教を続けようとしている。