第30章 花顔涙咲
「秀吉様…私が…久しぶりの登城で、
不安そうにしていたから…」
瑠璃の助け舟。
眉を下げ、涙の残る瞳を上げて見せる瑠璃。
「私が、泣いたりしたから…だから、
政宗を怒らないで下さい…」
ウルリとした瞳に、不安そうに震えて言葉を紡ぐ瑠璃に、秀吉が、ぐっっ と詰まる。
「わ…わ、分かった。本気で怒ってる訳じゃない、心配するな。怖がらせて悪かった」
なんだかんだ、言い訳を並べ、宥める秀吉。
(あの日と同じ女か?)
拝賀の日。
恐れもなさず、無礼なまでに堂々と信長に口を利いた怜悧な女。
秀吉は目を瞬く。