第30章 花顔涙咲
年に数回会う親族。
それは本家を羨み妬む者も多く、
仲良く話をする雰囲気ではなかった。
母は棘のある言葉で牽制し、父は当たり障りなく柔和に躱しているようだった。
小さい頃は「気を付けなさい」と母に言われ、
大きくなってからは自然に不穏を感じて距離を取った。
そのうえで、母も色々と吹き込んで来ていた。
『頭の切れる女は鼻っ柱も高けーな。可愛げも何もねぇ』
『何でも先を読みやがって、隙もなんもありゃしない』
『本家は分家を馬鹿にしてんだろ。
お前だって腹の中では、俺らを嘲ってんだろ?
その冷たい目でよ』
従兄弟もそう言って敵視して来た。
(私だってそうしたくてしてる訳でも、
そんな風に育ちたかった訳でもない…なのにっ)
うっかり口を突いて出そうになった、悔しい思いの丈。