第30章 花顔涙咲
「……悪いと思ってないですね」
鏡の中から政宗を見て、冷美に笑う瑠璃。
(もう、既に、完成か)
どんな男でも虜に出来そうに艶美でありながら、
清雅な笑顔。
容姿端麗にして瑤林瓊樹※(ようりんけいじゅ)
いつから培えばこんなに完璧に作り上げることが出来るのか。
感心する処ではなく、憐れむ処だが、
つい、感心してしまう。
外見は玉貌。
香り立つような美しさ。
白い清楚な可憐な花の様で、色香を隠した大輪の牡丹のよう。
瑩潔※(えいけつ)で甘美。
面も肢体も纏う品位も、持てるものは全て持っている贅沢に羨溢(せんいつ)。
憂愁を湛えてて、零す息さえも心を奪う。
この女には欠けている処は無いのではないか、
と思うほど、完璧。
※瑤林瓊樹…品位が気高く人並み優れていること。
※瑩潔…ツヤがあってなめらか。
※羨溢…余り溢れる。