第28章 鷹狩の蛇
「命の大切さを知らないんですよ。
戦の時、馬に括り付けて、一番馬で
独り矢面に投げ出してもらいたいですね。
死の恐怖を味わえはいいんです」
冷たく言い放つ瑠璃。
死んでも死ななくても、命がどれ程すぐに尽きて、生きているのがどれ程、素晴らしい事か理解出来る。
「本当に…」
(誠に女らしい容貌で、女らしからぬ考えをして)
目を細める信長。
正当でもっともなことを言いながらも、
恐怖を存分に味わって死ね と言っているのだ。
それでも信長は、楽し気に瑠璃を見る。
「囮……と言うよりは生贄だな。
そいつ1人に全矢を負わせるのか」