第28章 鷹狩の蛇
「1人ではなく、4人です」
忌々しそうに吐き捨てるように言い直す。
「おい、玉瑛!信長様になんて口を利くんだ」
慌てて注意する秀吉を、瑠璃は、迷いなく、怖がりもしないで睨み返す。
山犬が牙を剥いて噛みつきそうな眼をして。
冷めているのに熱っぽい輝きみたいに。
(コイツ…)
秀吉が瑠璃の気迫に怯んだ。
(そこに信念があるなら、自分の命を盾にしても引きはしないのだな)
信長は瑠璃を買った。
「よせ、秀吉。
これ位、聞き流せないような俺ではない」
秀吉は信長に頭を下げながら、瑠璃をチラッと見た。
すでに、なに事もなかったかの様子。
(…空恐ろしい…)
秀吉は、神妙にして警戒しながら、玉瑛姿の瑠璃を見ていた。