第28章 鷹狩の蛇
「……ただ殺せば、信長様は、見せしめに家臣を殺したただの人殺し だと、言われるでしょう」
それは望んでいない。
それほど残忍でもないのに、たった一つの出来事で、その人の印象が決まってしまう。
人の世の恐ろしさ。
人の先入観はなかなか変えられない。
「私は、全てに平等に与えられている命の大切さを知らない、考えない事に怒りを示したのです。
ただ処刑しても何の意味もありません」
淡々としながらも熱く話す。
そんな瑠璃の次の言葉を、信長は期待しながら待つ。
(臥龍鳳雛※かもしれぬのに、女であるとは勿体無いことだな)
女であれば取り立てることも難しく、
危険に曝すことも躊躇われる存在だ。
※臥龍鳳雛…寝ている龍と鳳の雛。
機会があれば大いに実力を発揮するであろう英雄の例