第28章 鷹狩の蛇
「美弥様…」
(動けないくらい打ち身がヒドイのに、この人は…)
何処までも優しく、他人を心配する。
あの後、目を覚ました美弥は、
幸いにも骨折は無かったが、落馬の打ち身で
歩行不可能だった。
「玉瑛君が落ちる前に、頭を庇って丸まれ って教えてくれたから、大怪我にならなかったんだと思うの。ありがとう」
「それは…でも……。
御礼を言われては困ります……」
戸惑って瑠璃の声が小さくなる。
が美弥は気にするでもなく続ける。
「玉瑛君も馬から落ちたのに、平気?…みたいだね…良かった」
安堵の笑顔を見せる美弥に、瑠璃も ふふっと笑って
「私は落馬の経験が豊富なので、上手に受身が取れるんですよ」
と言って、美弥の笑いを誘う。
が、聞いていた家康が眉を顰めていた。