第28章 鷹狩の蛇
傍目(はため)にも怒っているのが、
ありありと分かるほどに怒っている。
競技会の時のように冷たい、
雪吹き荒ぶ真冬の海の様。
けれど、遊び半分でも、生半可でも無い。
怒気を隠せる冷静さは、微塵も残っていないようだった。
冷たさの底に、炎が見える。
(阿修羅みたいだ…。怒りで全てを焼き尽くす闘神…。切られるというより、嬲(なぶ)り殺されそうな…)
信長に恐れ、すでに精気もない男達の前に殺気立った瑠璃が立つ。
「誰なのっ⁉︎馬に向けて矢を放ったのは、誰‼︎」
怒りに任せ怒鳴るように問う。
「答えなさい!
アンタ?それともアンタか?早く答えて‼︎」
苛々と声を荒げる。