第4章 光秀逗留
「瑠璃」
(お前、何を見てるんだ)
拳が震え、握りしめた手は白くなってしまっている。
「瑠璃‼︎
力を抜け」
光秀が声を上げ、瑠璃の身体を揺さぶる。
それでも、瞳は光秀を映さない。
「大丈夫だ…」
光秀は、瑠璃をギュッと抱き締め、
頭を撫でてやる。
撫でている手を頭から背中にゆっくりと
移動させる。
「瑠璃…
戻って来い……」
願うように呼びかける。
どれ位そうしていたか、フッと瑠璃の身体から力が抜けるのを感じた。
「瑠璃、大丈夫か?」
瑠璃の膝がカクっと落ちるのを、
慌てて受け止める。
「意識を手放したか……」
光秀は、意識のない瑠璃を抱えて、
馬に乗ると城へ戻った。