第28章 鷹狩の蛇
ー蛇に口無しー
男が4人、床几に座る信長の前に引き摺られて来て、座らされている。
「貴様らが、蛇か」
紅く燃える炎のような緋色の瞳が
ジロリと窺う。
「蛇か」と言った信長の方が余程、
ヘビのようにヌルリと光る冷たい眼をしている。
「…貴様らのせいで、鷹狩は中止だ。どうしてくれる」
男達は信長を目の前にして言葉も発せない。
信長は剣呑と床几に座って見下ろしているだけだと言うのに、怯え、震えあがり、身じろぎも出来ないでいる。
「どうした、そんなに俺が恐ろしいか」
クククッと喉の奥で笑うと、男達の怖がりようを楽しむように、気が放たれる。
青ざめる男達。
呼吸も忘れそうな程。
「女々しいな。此れくらい平然としていた女がいるというのに。一度も、我に臆することなく、口をきいた女」
「瑠璃ですか」
「あぁ、あの女の方がよっぽど、肝が座っておる」
女と比較され、皮肉られても、縛られた男達は、あわあわと信長を見上げるばかりだ。