第28章 鷹狩の蛇
天幕では、三成が連れ帰った美弥を家康が診ていた。
美弥は落馬し、草まみれで、顔も足も出ているところは傷だらけだった。
「どうだ?」
「落馬の衝撃で気を失っているだけですね。
大きな外傷はありません。擦り傷と打ち身だけです。目もすぐに覚めるでしょう」
「アイツは戻ったか」
信長の言うアイツは瑠璃か、光秀か、
どちらもなのか。
「いいえ、まだです」
三成が答える。
「馬だけでも戻ったとかもないのか?」
秀吉が続けて問う。
秀吉のアイツは瑠璃の事。
「はい…」
三成は悲壮な面持ちで 答える。
「……止まれず、馬ごと落ちた可能ー…」
「ヤメロ、三成っ」
三成の言葉を家康が遮った。
「縁起でもない。そんなの聞きたくないっ」
三成を睨みつける家康。
「すみません…でも、美弥様を落とされた時点で、余裕がありませんでしたので…」
「政宗はどうした」
「玉瑛を追っています。無事なら政宗が連れ帰るでしょう」
秀吉が答える。
「無事に、決まってる…」
家康が小さく呟いた。