第28章 鷹狩の蛇
「いやぁぁ〜っ、キャァァァ〜っっ。
信長様ぁーーっ!秀吉さーーーん!」
馬のスピードに振り落とされるかもしれない恐怖に、美弥が大声を上げる。
「きやぁぁー〜〜っ、ヤダヤダ、落ちるぅぅーーっ」
悲鳴を上げ続ける美弥。
瑠璃は馬を止めようと必死に手綱を握りながら、左右を確認し、美弥と同じ年頃の女とは思えないほど、冷静に状況判断している様に見える。
しかし、本当は瑠璃も焦っていた。
いくら乗馬経験者だとしても、
崖も近い、同乗者もいる、馬には矢が刺さっている。
こんな危険な経験初めてなのだ。
(どっちに駆けてる?東はダメ……ーーっ⁉︎)
崖の方へ駆けていることに気づく。
「星羅!止まれっ‼︎ダメっ、そっちばダメっ‼︎」
瑠璃は慌てて、更に強く手綱を引くが、
女の力で言う事を聞く平常心は星羅にはなく、
スピードは全く落ちない。