第28章 鷹狩の蛇
「美弥様っ、落ちないようしっかり掴まって!」
まずは瑠璃の大事をとりながらも、
(何に驚いたの?何があったの?)
冷静さを失わず、手綱を握りしめ、周囲を見て考える。
馬は小心者だ、些細なことでも驚いて走り出す事がある。
けれど、地面は平坦、何も無さそうだ。
(ヘビの類?そんな感じじゃない?)
奇妙だと思っていると。
ヒュッ、ヒュ
何かが掠めて飛んでいく音が聞こえた。
(何の音?)
更に馬の足元を掠めて音が聞こえる。
(矢…?)
星羅は矢に驚いて走り出したのだ。
(何で⁉︎)
ヒヒィーーンッ
再度嘶き、前脚を掻いて後脚を跳ね上げると、
更にスピードを上げる星羅。
ぐんぐん加速し始める。
慌てて瑠璃が後方を見てみれば、
「‼︎‼︎」
短矢が、臀部に刺さっているではないか。
刺さった痛みで更にスピードを上げたのだ。
(誰がっ)
瑠璃は唇を噛み締める。