第28章 鷹狩の蛇
「?…ん?」
微かな声を聞き取った三成が、辺りを見回す。
「信長様!あれをっ」
三成が遠くに激走する馬を見留て、声を上げる。
三成の声に他の者も顔を向ける。
(ん、な事、あり得ねぇ!)
政宗は即座に馬に蹴りを入れ、追いかける。
馬に慣れていて、馬も大人しい。
間違って暴走させる事など無いはずなのに、
瑠璃と美弥を乗せた馬が激走しているのだ。
偶然突然何かあったとは思えなかった。
「三成、追えっ」
「はい」
信長は慌てた様子も見せず、三成に追いかけるよう指示を出す。
「蛇が出おったわ。我々は天幕に戻るぞ」
くくくっっ と愉快そうに笑って、
本陣に戻るよう残りの者を促した。