第28章 鷹狩の蛇
空を飛ぶ黒い鷹を追いながら、ゆっくりと馬を歩ませてゆく。
高く広い空、流れる白い雲。
隔たりのない広い平原。
吹き抜ける青い風。
揺れる木々や草花。
1年前にはなかった自由な物達。
窮屈な家、親族。
退屈な毎日。
思うままに行動することも発言する事も、
笑うことさえも許されなかった。
それが、私の日常だった。
今とは正反対の日常。
『帰りたいのか?』
今ではハッキリと答えられる。
『帰りたくない』
私はもう、あそこに縛られたくない…。
「玉瑛くん、どうしたの?」
「あぁ、済みません。家の事を思い出しまして」
ただ、懐かしいとかそう言う思いではないだけで、嘘ではない。