第28章 鷹狩の蛇
「そうなんですか。夢があるというのは、ステキな事です。
気持ちを込めて作られた着物は、着る人も幸せでしょうから」
「ありがとう!玉瑛くん」
本当に嬉しそうに美弥が瑠璃を見て笑う。
眩しく。
真っ直ぐに笑いかけられる。
(私は、こんな風には、笑えてないな)
羨ましく思う。
(夢、希望、将来、好きな物や事…そんなこと、
考えた事もなかった)
寂しく思った。
(薄っぺらだな…私の人生)
『私の人生何だったのかな』
「何のために生きて来たのかな』と光秀に零した言葉が蘇る。
また虚しくなった。