第28章 鷹狩の蛇
瑠璃は美弥を乗せ、平原周囲の森を
散策しながら、ゆっくりと信長達の後を追っていた。
「森の中は冷んやりしますね。寒くないですか?」
「うん、大丈夫だよ。
それより、玉瑛くんのその手袋素敵だね!
着物の余りで出来てるの?」
手綱を握っている瑠璃の片手を、美弥が取り引き寄せると、マジマジと見る。
「さすが女性ですね。こんな物に気付くなんて」
そうは言うが瑠璃も少し嬉しかった。
女性として可愛い物や綺麗な物が好きなのは同じなのだ。
「私、服飾に興味があるんだ」
「針子のお仕事をされてますからね。
女性らしいことです」
そう言って瑠璃が微笑むと美弥も釣られるように笑う。
「私の夢だったの。デザイナーに…あっ、
えっと…針子になって皆の喜ぶような着物を作る事」
(デザイナー?どうして、そんな言葉を…)
口を突いて出てきた美弥の単語に、引っかかったが、今は何も言わないでおく事にして、当たり障りのない言葉で繋いだ。