第28章 鷹狩の蛇
「政宗」
「はっ」
信長に呼ばれ、政宗が馬を並べる。
「美弥が瑠璃に会いたいそうだ」
知ってる。
今日までにも何度も強請られていたから。
「政宗〜。瑠璃さん毎日、御殿で独りどうしてるの?
何で、連れてきてくれないの?
今度、瑠璃さん連れてきてよ。
ダメなら私が御殿に行ってもイイよ」
幼子が一緒懸命に何かを頼んでいるようだ。
下手をすれば、唯の駄々っ子だ。
「私、瑠璃さんと友達になりたいんだけど、なれるなか?」
政宗を見る美弥の目は、キラキラと良い答えを期待している。
美弥は瑠璃が毎日政宗に付いていて、
こうやって、自分と話していると言う事を知らないのだ。
「くっくっく、玉瑛、どうだ、友達になれそうか?」
政宗は自分の後ろに着けている瑠璃に問う。
「政宗、なんで玉瑛くんに聞くの?」
「あ"?…玉瑛の方が瑠璃の事を良く分かってるからだ」
「ふーん、そうなんだね」
何の疑いも疑問も持たない。