第27章 褒寵賞玩(R18)
(あそこ…前にも…)
源蔵が京へ旅立った日の夜も、あそこで空を見上げていた。
そっと近付いて、欄干に手を突き、囲うようにして瑠璃を見下ろす。
(此処に、何がある?何が見えてる?)
「…政宗…おかえりなさい」
顔を上げ見上げてくる瑠璃に、腰を屈め口付ける。
「…ん…」
「日が暮れる。冷えるから中に入れ。
連れてってやるから、ほら、手、首に回せ」
横抱きにして抱え上げると、瑠璃が首筋に顔を埋めてくる。
素直にこうしてくる時は、心が弱っているか、本当に疲れている時だ。
「疲れたな」
「ん…疲れました…」
いつもは甘え下手な瑠璃だから、解ってしまえば、分かり易い。
(褒められたい、甘えたい…か…)
ただの童女でしかない。
「いつも疲れてればいいのに」
「どうしてですか?」
「可愛いから」
ちゅ、ちゅっ と口付ける。
「…もっと、キス、して…」
(あーあ…今夜は甘やかして、グズグズに溶かしてやるよ)