第27章 褒寵賞玩(R18)
政宗が御殿に帰ってみると、先に帰っているはずの瑠璃が部屋に居ない。
本当に何かあったんじゃないかと、心配になる。
女中に問うも、
「御殿のどこかにいらっしゃいますよ」
と困ったように笑われただけだった。
女中がそう言うと言うことはちゃんと帰って来ていて、この御殿敷地内には居ると言うことだ。
「……仕方ねぇなぁ」
探しに行く。
(夕暮れは隠れん坊 する時間じゃねーんだけどな)
内心独り言ちながら御殿内を探し回ってみても、
部屋にも、台所にも、湯殿にも…中に居ないので、
外回廊に出て庭を見渡す。
「庭でもない…か」
外回廊を歩き、渡殿を幾つも越えて、
池の上に架かる渡殿の欄干にもたれて、
座り込んで居るのをようやく見つけた。