第26章 弓馬競技会
射駆け…
的を射るどころか、弓を持って馬に乗るだけで精一杯。
弓を構えられず落馬。
乗ったまま直線を駆け抜けるだけ。
手綱を離す恐ろしさのあまり、駆けさせられもしない。
5人中4人、散々たるものだった。
皆、惨敗。
「残るは玉瑛だけだな。行け」
秀吉の命令で瑠璃が流れるように立ち上がる。
「玉瑛くん、頑張って!」
美弥が声をかけて、両手を胸の前に、
ファイティングポーズを作る。
それを、あんぐりと口を開けてみてから、
花が咲くように笑った瑠璃。
「ありがとうございます。美弥様」
礼を述べると歩きだす。
(不思議な人…)
心が温かくなるのを瑠璃は感じた。