第26章 弓馬競技会
瑠璃は準備を整えると、馬場を回り直線に入ってくる。
左手に弓を持ち、右手で手綱を操り、
真っ直ぐに風のように駆けてくる。
(安定してる)
家康は厳しく優しい瞳で馬に乗る瑠璃を見つめる。
(良い加減に力も抜けてるな。後で甘味 喰わしてやるか)
(速度もいい。前見て)
右手で矢をつがえる時も、真っ直ぐ的を見て固定された上半身。
水平に保たれた左腕。
(姿勢も綺麗だ。そうだ、そのままーー)
((射抜け!))
静寂の中、乾いた音を立てて的が割れる。
瑠璃は3枚 全ての的を射抜いた。
「おおおお〜〜〜」
全体が、どよめいて静まる。
「きゃあぁぁぁ〜〜、すごーーい!」
「玉瑛様ー❤️」
「素敵〜〜❤️」
城内でも黄色い声が響き渡る。
大歓声だった。