第26章 弓馬競技会
弓術、馬術の競技が終了した。
「三成が呼び上げたものは前へ」
秀吉の声で、皆が固唾を飲んで、三成が読み上げるのを待つ。
「5名です。」
軍の頭脳(ブレイン)に優秀と認められた者。
「…まず、玉瑛」
瑠璃が頭を下げて前に進み出る。
最初に呼ばれた瑠璃に対し、周囲が騒つく。
競技において群を抜いている事を目の当たりにしながらも、まだ、認めたくないのか、反感のざわめきだ。
(力の差は歴然としているのに、まだ 黙らないのかっ)
家康がギッッと家臣達を睨みつける。
ザワザワとする中、信長が立ち上がり声を上げた。
「今までのは誰でも出来ることだ。
玉瑛は自分の的でなく、隣りの的を真ん中に射抜いておったしな」
ニヤリと瑠璃を見る。
狂気を纏った瑠璃は残り4本をすべて、
自分の的ではなく、左右隣りの的に命中させていたのだった。
斜めから中心を射るのは、正面の的を射るより、飛距離も必要な為、随分と難しいはずなのに、きっちり命中させていたのだ。