第26章 弓馬競技会
「うわぁ〜、白馬の王子様みたーい!」
黄色い感嘆の声で、キラキラと瑠璃を見る。
城内からも、乙女達が見ている事は、今はまだ誰も知らない。
城内の窓に張り付いた乙女達は、悶える様に歓声を上げ、吐息を漏らしながら、恋慕の眼差しで白馬の瑠璃を観ていた。
駆け出す馬に、一瞬だけ、優しい目をして言葉をかけると、また真っ直ぐに、強い眼で前を見据える。
速足で馬場の外周を駆けると、設置された障害を悠々と飛び越えてゆく。
風が走っているかのよう。
高低差のある連続障害を難なくクリアすると、
溝を飛び越え、斜行、後退、旋回、跳ね足 を披露して見せる。
現代で競技馬場馬術を習っていた瑠璃にはお手の物だった。
(アイツ、元いた時代で、アレを習ってたのか…参ったな…)
誰も言葉を発さない。なか、
「玉瑛くーん、カッコイイ〜〜!すごーい‼︎」
美弥だけが呑気に手を叩き、競技を楽しんでいた。
この催しの重要性が解らないのは、美弥だけなので、仕方の無いことだ。