第26章 弓馬競技会
ドンっ
「あっ……」
華奢な身体で震え怯えて、縮こまって見えるのだろうか、あからさまだ。
肩をぶつけられ、足を踏まれ、すれ違い様に、
これ見よがしに悪口や下品な言葉を放って来る。
精神的に、瑠璃の戦闘意欲を削ごうと目論んでいるのだろう。
(まぁ、何とも古典的な嫌がらせ……って、
まだ古典の時代かしらね)
すれ違い様、嫌がらせをし、ざまあみやがれ と汚い失笑を浮かべる多勢。
瑠璃を見る全ての者は、瑠璃が弓を置いて、泣きながらここから去って行く事を、期待していた。
それなのに…
伏せていた顔を上げた瑠璃は、ゾッとする程美しく妖しい冷笑を浮かべて、周囲の者に向けて見せた。
それは、まるで、気が触れたモノの様な、
狂気染みた凶虐な、背中の凍るような笑み。