第26章 弓馬競技会
その場の全てが凍りついた。
瑠璃は6度目の射場に、唇の端を上げて
スッと進み出てきた。
「な、んだ、あれ…」
秀吉が息を飲むように、言って瑠璃を見る。
他の武将達も同じ思いで見ていた。
「あっ、玉瑛くんの番だ。笑ってて楽しそうだね」
美弥のマヌケな感想。
「玉瑛くーん、頑張ってーーっ!」
届いていようがいまいが、関係ない、
美弥の気の抜けるような声援。
狂易として惨慄
気が狂った様な冷たい凄凍な気が、
離れていても感じ見て取れる。
感情の見えない横顔に、口元だけが楽しげに上がっている。
冷笑しながら、殺気でもない冷たい気を纏った狡童(こうどう)※の瑠璃。
冷艶。
※狡童…可愛い顔をしているが油断ならない少年