第25章 不安な夜に寄添う(R18)
「あの…処で、政宗さん…。
御殿で、瑠璃、様子どうですか?」
目を泳がせながら、歯に物が挟まったように
切れ切れに家康が問う。
「?どう…って」
「だから、その…瑠璃…元気がないとか…」
(泣いてたり…怒ったり……)
「家康、嫌い!とか?」
その台詞に、バッッ と家康が政宗に顔を向ける。
「うーそーだ。瑠璃がそんな事言うはず無いだろ。美弥じゃないんだ」
政宗はちょっと意地悪そうに笑い、
家康は恨めしそうに政宗を睨む。
「昨日は少し元気が無かったがー…いつもは何のことなさそうにしてたぞ。
出来ない事、同じ失敗をする事で、
お前の手を煩わせて申し訳ない、と言っていた」
「えっ?」
「なんでそんなに驚くんだよ」
「…いえ、なんか…」
厳しくし過ぎているのではないか、と家康は内心、気にしていたのだ。
(誉めたりしないから…)
御殿に帰ってから、泣いたり、政宗に愚痴ったりしているのではないかと思っていた。
(それなのに、申し訳ない…なんてー)
責めるどころか、そんな風に思われていたなんて、家康は思ってもいなかった。