第25章 不安な夜に寄添う(R18)
「駄目な所は分かってるんだろ?何度も言わせないで」
「はい」
「それから、馬、もう少しゆっくり走らせて。
速すぎるとアンタには、まだ、当てられない」
バッサリと歯に衣着せぬ物言い。
「〜ッ…、はい…」
家康の否定のような助言(アドバイス)を受けると、
悔しそうにしながらも、瑠璃はまたすぐに直線馬場に戻って行く。
「よぉ、家康。瑠璃はどうだ?」
隠れて見ていたことは、おくびにも出さず、
いつものように飄々明朗とした様子で
政宗は歩いて行き家康の隣に並ぶ。
「政宗さん……何しに来たんですか」
鬱陶しそうに、嫌そうに政宗を横目に見る。
「お前、あからさまに、そんな顔すんなよ。
ちょっと様子を見に来ただけだ」
澄ました顔で政宗は言うと、馬上で弓を構える瑠璃に目を向ける。
「あーあ、あっれじゃぁ、当たんねぇな」
少しだけ残念そうで、揶揄い可笑しそうに笑う。