第25章 不安な夜に寄添う(R18)
「アイツは1度やると言ったからには、
最後までやり通す。
愚痴も弱音も吐かない。
出来ないからと言って、他人の所為にしたり、
八つ当たりしたり、泣いたりもしない。
教えてくれる事に感謝はすれど、
悪く考える事はない。そんな女だ」
さっきから何度も直線馬場を行ったり来たりして、
練習している瑠璃を見ながら話を続ける。
「その辺の生温い野郎共より、心は強い。
まぁ…俺としては、もう少し弱々しくしてくれたら、嬉しいんだけどな〜」
最後はちゃんと、軽口で締めるのが政宗らしいけれど、家康も政宗の言うことは解る。
「お前だって、それ位感じ取ってるから
厳しくしてるんだろうけど、お前の特訓、
男でも逃げ出すぞ。厳しすぎだ」
「そんな事…」
分かってる、と言うのか、厳しくない、と言いたいのか、家康は小さな声で呟いた。
「まっ、何はともあれ、お前は何も気にする事はねぇ。お前の思う通りにしてればいい。
アイツの精神力は天より高いからな」
どうだ、すごいだろ と自分の事の様に言って、
家康に清々しく笑いかけた政宗。