第25章 不安な夜に寄添う(R18)
政宗に不安を吐露した翌日も、瑠璃は普段と変わらない様子で徳川御殿へと出掛けた。
射駆けの練習をしているのだと、瑠璃から話を聞いた政宗は、どんな風にシゴかれているのか
興味が湧いて、瑠璃に黙って、こっそりと徳川御殿へ様子を見に来た。
「腕っ、上半身、固定する!」
「的を見ろ、下を向くな!」
「馬、速いよっ」
今日も相変わらず、家康の激が飛ぶ。
「振れてる、落ちたいのか⁉︎」
「もっと早く、手を離せ」
昨日、瑠璃が泣きそうになったからと言って、手加減する家康ではないし、そうしたからと言って、瑠璃の為になる訳でもない。
だから、いつも通りだ。
離れたところから見ていた政宗は、驚きつつも苦笑する。
(こりゃ……女相手に手加減なしかよ)